■インタビュー担当者
人事総務部 人事次長 稲田いづみ
人事部の責任者をしています。
全従業員の採用から退職までの様々な手続きに対して、紙ベースからシステムによるペーパーレスを実現できるパトスロゴスの共創プラットフォームの活用に期待を大きくしています。
人事総務部 人事課長 村上 靖
人事・労務に掛かる業務を担当し、法改正の対応や、店舗や各部署からの問合せなどを行っています。
また、今回の切替にあたりプロジェクトリーダーを務め、パトスロゴス様と一緒に尽力いたしました。
これまで当社では、店舗と人事部門の間で交わされる給与明細や各種申請書類を、殆どを紙でやり取りしていました。書類の提出や回収に時間がかかるだけでなく、システム台帳に店長が従業員の情報を入力する際、転記ミスの発生やその確認工数の増加が課題になっていました。
特に、非正規雇用の従業員が多く、店舗ごとの手続きが頻繁に発生する当社のような業態では、紙ベースの運用による業務負荷はより顕著でした。広範囲に拠点が広がっている分、標準化された業務基盤の必要性は以前から感じていたところです。
また、過去の従業員台帳が紙だったことで、必要な情報を探すのにも時間がかかっていました。監査対応や社内確認のたびに、紙資料を一枚一枚確認する必要があり、業務の属人化やミスのリスクも高まりがちでした。
既存の人事システムにも限界がありました。例えば、社会保険の電子申請では文字化けによって自動連携ができず、e-Govへの手入力が必要になっていましたし、人事と給与で住所データを別々に管理していたため、情報の整合性をとるにも一手間かかっていたんです。人事にしか無いデータや給与にしか無いデータをそれぞれ抽出し、紐づけてから資料作成を行うことも工数が増加する要因でした。
中でも、毎月の給与計算はかなり負荷が大きかったです。給与計算で必要な勤怠実績は、毎月Excelでデータ加工をしてインポートしていたり、給与計算結果の前月との差分を確認するためにExcelを用いて手作業でデータ突合を行っていたりと、ミスや抜け漏れのリスクが常につきまとっていました。特に決算期などの繁忙期には、人事部全体がピリピリしていました。
給与システムの保守終了が近づいていたこともあり、この機会に単なる入れ替えではなく、人事業務全体を見直すきっかけにしようと考えました。
検討時に特に重視したのは2点です。
ひとつめは、これまで手作業で行っていた業務や、システム外での対応が多かった部分をどこまで取り込めるか。つまり、業務の効率化とミスの削減につなげられるかどうかです。ふたつめは、制度変更や人員構成の変化など、将来的な変化にも柔軟に対応できる仕組みにできるかどうかという点でした。
そのため、単機能のシステムを選ぶのではなく、複数のSaaSを自社に合わせて柔軟に組み合わせられるような"共創型※1"の業務基盤をつくることを重視しました。
中でも意識していたのが、SaaS同士のデータ連携が自動化できるか否かなど、SaaS同士の連携性です。いくら良い機能を持っていても、連携できなければ逆に工数が増えてしまいます。そこで、まずは給与・勤怠といった中核部分に絞って導入をスタートし、必要に応じて他領域のSaaSを段階的に追加していく設計にしました。
同時に、属人化を防ぎ、誰が担当しても業務が回るようにすることも目指しました。導入後のサポート体制や将来的な拡張性も含め、長く安定して使い続けられるかどうかは重要なポイントでした。
こうした条件を満たしていたのが、HR共創プラットフォーム「PathosLogos」でした。SaaS間のスムーズなデータ連携と、業務全体を効率化できる点に魅力を感じ、導入を決めました。
導入後は、各システムへのデータ連携がスムーズで、それぞれのシステムでマスタを登録する必要もなく、各システムの得意とする業務をスムーズに対応することができました。
また、今回の検討のきっかけとなった給与計算システムには大企業向け人事給与SaaS「Combosite」を導入しました。「Combosite」によって、前月と当月の給与計算結果の差分チェックがシステム上で完結するようになり、手作業だった業務が大幅に効率化されました。
差分が発生した際には、その要因も確認する必要がありますが、「Combosite」は差分発生要因まで表示してくれるため、画面を行き来しながら確認する手間が減りました。
また、システムはバラバラでも「PathosLogos」のおかげでデータ連携は自動で行われることで、給与明細の印刷や送付といった作業も不要になりました。店舗と人事間の紙のやり取りは大幅に削減されて効率化が進みました。
不備があった場合も、従業員本人に直接確認できる仕組みによって、店長を介した再提出対応などの負担も軽減されています。従業員が自身で情報を入力することで、店長の代行入力によるミスも減少。全体的に業務の精度が上がってきていると感じています。
これらの取り組みにより、人事と店舗の間で発生していた確認・修正作業などのやり取りが、1日あたり30分程度 にまで減少しました。とくに年末調整の時期にはその効果がより明確に表れており、業務全体のスピードと正確性の向上につながっています。
導入当初は、「PathosLogos」の共創パートナーとしてまだ参画していないSaaSもいくつかありました。
たとえば、勤怠管理システムについては「PathosLogos」と同時期に導入を進めていましたが、当時は共創パートナーに未参画でした。現在はパートナーとしての参画が決定し、プラットフォームとの連携に向けた開発を進めている段階です。また、今後導入を予定している安否確認サービスについても、共創パートナーとしての参画を見据えて調整が進められています。
このように、すべてのSaaSが最初からつながっていなくても、必要に応じて後から連携を拡張できる点は大きな安心材料です。
「今使っているシステムが共創パートナーに参画していないから」と導入を諦めるのではなく、まずは優先度の高い領域から整え、段階的に環境を広げていける柔軟性こそ、「PathosLogos」の大きな魅力のひとつだと感じています。
今回の導入による改善効果は、人事部門だけでなく店舗現場にも波及しています。
たとえば、「Combosite」のダッシュボードで、給与支給前の確認ステータスがリアルタイムに確認できるようになったことで、進捗の"見える化"が進みました。これにより、店舗との連携や業務の前倒し対応も行いやすくなりました。
また、給与データや従業員情報の検索性が高くなったことで、監査対応や社内からの問い合わせにかかる時間も減っています。年末調整のタイミングでは、1日30分以上の削減を実感しています。
加えて、「適用日」を設定できるようになったことで、給与計算の事前準備がしやすくなり、途中の修正が当月支給額に影響するリスクも抑えられるようになりました。安心して運用できる環境が整ってきていると感じています。
紙ベースの属人的な業務から脱却し、人事と店舗の双方で業務効率と正確性の向上を実現することができました。「PathosLogos」を基盤に、複数のSaaSを柔軟に連携させたことで、自社の業務課題や運用に即した仕組みを構築できたと実感しています。
今後も制度変更や業務フローの見直しなど、継続的な改善が求められる中で、PathosLogos社には引き続き、良きパートナーとして支援をいただけたらと考えています。