

■インタビュー担当者

総務本部 人事部 副部長 香西進史様

総務本部 人事部 東郷愛実様
総務本部 人事部 亀井皓平様

株式会社イワキではこれまで、人事給与システムを中心に、タレントマネジメント、労務管理、通勤費管理など、用途の異なるHR SaaSを組み合わせて人事業務を運用してきました。
それぞれのシステム自体に大きな不満があったわけではなく、個別の課題解決という観点では一定の効果を上げていました。
一方で、HR SaaSが増えるにつれて、データの分断や運用負荷が少しずつ積み重なっていきます。
入社・異動・退職といった人事の基本情報でさえ、複数のシステムに手入力で反映する必要があり、更新のタイミングや内容にズレが生じるリスクを常に抱えていました。
一つひとつの作業は数分で終わるものの、対象者が増えればその負荷は無視できません。
さらに、年末調整や社会保険対応といったミスが許されない業務では、差分チェックや確認作業に多くの時間と神経を割く必要がありました。
担当者の間では、「今は何とか回っているものの、これ以上HR SaaSが増えれば、確認作業や差分チェックの負荷が一気に高まる」「データが増えるほど、抜け漏れやミスへの不安が大きくなる」といった危機感が共有されていきました。
こうした背景から、人事業務を支える仕組みそのものを見直す必要性が、徐々に明確になっていきました。
人事基盤の見直しにあたり、同社では複数の選択肢を検討しました。
検討の俎上にあったのは、大きく分けて三つの選択肢でした。
すべての機能を一体化した統合型システムへの刷新、従来利用していた給与計算システムを同系統の後継システムへ置き換える案、そして既存のHR SaaSを活かしながら新たな人事システム基盤を構築するという三つの方向性が比較されました。
検討を進める中で明確になったのは、「単に新しいシステムに入れ替えること」が目的ではない、という点でした。
同社が重視していたのは、すでに現場で定着しているHR SaaSを無理に捨てることなく、全体として「正しくつながる状態」をつくることです。
個々のシステムが優れていても、データが分断されたままでは、運用負荷やミスのリスクは解消されません。
また、今後新たな課題が生じた際に、さらに別のHR SaaSを追加せざるを得ない可能性もあります。
そうした将来を見据えたとき、「これから増えていくシステムも含めて、どう全体を設計するか」という視点が欠かせないと考えるようになりました。
この段階で同社の関心は、「何を入れるか」から「どうつなげるか」へと大きくシフトしていきます。

こうした検討の中で出会ったのが、HR共創プラットフォーム「PathosLogos」でした。
既存のHR SaaSを前提に、人事データの「ハブ」となる基盤を段階的に整えていくという考え方は、同社が抱えていた課題感と重なります。担当者からは、「最初に話を聞いたときは、正直なところ実現できるのか半信半疑だった」という声もありました。
しかし、人事データを一元的に扱いながら、必要に応じて連携先を広げていくという構想は、分断されたデータの運用に悩んできた現場にとって非常に魅力的なものでした。
また、仕様を一方的に押し付けるのではなく、現場の実情を踏まえながら、実現可能な形を共に探る姿勢も、評価のポイントとなりました。
将来を見据えた人事基盤づくりの第一歩として、「一度に完成形を目指さない」という考え方を採用しました。
まずは人事データの土台を整え、そこから少しずつ広げていく。その考え方が、パトスロゴスの思想と自然に重なっていきました。

導入プロジェクトでは、まず給与計算と通勤費管理の領域から整備が進められました。
特に通勤費管理については、「PathosLogos」と外部サービスとの初の連携事例となりました。検証や調整を重ねながら、関係各社と連携し、スピーディーに課題を解消していく体制が取られ、エラー発生時の迅速なレスポンスや、関係各社を含めた調整を通じて、致命的なトラブルなく本稼働へと移行することができました。
給与計算においても、同社特有の複雑な要件に対し、運用での回避だけでなく、機能開発を含めた対応が行われています。これにより、従来は属人化しがちだった作業が整理され、工数削減だけでなく、心理的な負担の軽減にもつながりました。
担当者からは、「手入力が減り、確認作業に集中できるようになった」「ミスへの不安が大きく減った」という声が上がっています。実務に直結する領域から整備を進めたことで、基盤づくりの効果を早い段階で実感できた点も、大きな成果といえるでしょう。
現在同社では、人事データ全体を見渡した基盤整備が進んでいます。事業やシステムごとに異なっていた項目定義や運用ルールを整理し、全体として一貫性のある形へと整えていくフェーズです。
この作業は目立ちにくいものの、将来的な活用を考えるうえで欠かせない工程です。
どの情報を共通化し、どこに事業特性を残すのか。現場の実情を踏まえながら、丁寧な議論が重ねられています。移行は一気に行うのではなく、日常業務への影響を最小限に抑えながら段階的に進められています。
「まずは正しく扱える構造を整えることが重要」という共通認識のもと、着実に基盤づくりが進行しています。

同社が今回の人事基盤整備を通じて目指しているのは、単なる業務効率化ではありません。評価や賃金制度の運用改善、従業員一人ひとりへのより丁寧な対応など、人事が本来向き合うべきテーマに時間を使える状態をつくることです。
人事データを正しく集約し、必要なときに必要な形で取り出せる状態をつくることで、人事が本来向き合うべきテーマに時間を割けるようになります。評価や賃金制度の見直し、従業員一人ひとりの状況に応じた対応、そして経営判断に資する情報提供。そうした役割を果たすためには、まず足元の業務を支える基盤が不可欠だと同社は考えています。
将来的には、勤怠や健康管理といった領域との連携も視野に入れ、より立体的な人事データ活用を目指しています。「PathosLogos」を起点に、人事データを「つなぐ」取り組みは、今後も段階的に広がっていく予定です。
完成形を急ぐのではなく、現実的な一歩を積み重ねていく。
今回の基盤整備は、同社が人事の次の役割へと進むための、確かなスタートラインとなっています。